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貸金業の真実
利用者を”グレー”にするな

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著者: 岸 紀子
定価:本体 1,600円+税
発行: 2006年7月
四六判・219頁

世間はあまりにも貸金業市場を理解していない。そして、実は業界自身も理解していない……。
いま行われている法改正議論に、利用者は不在である。利用者のために業界としてあるべき姿をあらためて見直すべきである。

著者紹介

岸 紀子(きし のりこ)

1960年2月東京生まれ。立教大学文学部史学科卒業。現在、日本金融新聞㈱取締役編集長。
執筆活動は日本金融新聞の他、業界関係誌、業界関係資料などで行っている。日本金融新聞での取材経験を生かし、貸金業界の客観的情報を幅広く伝えるため、生活行動研究所の西ヶ谷葉子所長と(有)紀葉を設立、ホームページCARDLIFEを運営。消費者からのメール相談などに答えている。また、YAHOO ファイナンス、カード銀座などポータルサイトへのアドバイス、情報提供を行っている。

主な内容

第1章◆貸金業の依って立つ法律
1.法の枠組みを概観する
2.「資金需要者の利益」とは何か
3.価格としての金利
4.貸金業規制法・実態との違和感

第2章◆出資法と利息制限法
1.なぜダブルスタンダードか
2.金利二法制定時の合理性
3.出資法改正で合理性に歪み
4.「懲罰的金利」の限界
5.本質的議論が求められる

第3章◆グレーゾーンと規制法43条
1.「グレーゾーン」という言葉を放置した業界
2.1千万人超の利益保護とグレーゾーン
3.「43条問題」とは何か
4.「任意性」とは何か

第4章◆債務整理手段としての返還請求
1.「何でもあり」への疑問
2.法律とは政策の現れである
3.本当に「弱者救済」?
4.契約意識の消失を促進

第5章◆法とインフラの課題
1.包括契約の17・18条書面問題
2.過剰融資の基準
3.「総量規制」の実効性
4.貸金業協会と情報機関
5.合理的な情報制度の構築
6.個人情報保護法で求められるもの

第1章◆1978年〜1983年 貸金業規正法ができるまで
1.激動の屈折点
2.業界内での分裂
3.過払い返還・判例と現実の間で揺れる
4.上限金利をめぐる攻防
5.業界「冬の時代」前夜
6.選別・淘汰の始まり
7.生き残り賭けた拡大策

第2章◆1984年〜1989年 貸金業界は二極化へ
1.強者と弱者の峻別始まる
2.明暗分けた経営判断
3.時代は再び成長期へ
4.他業態は大口商品へ、専業界は競合相手不在に
5.業界の二極化顕著に
6.ノンバンク問題の足跡
7.抜本的議論は消化不良に終わる

第3章◆1990年〜 バブル崩壊時に消費者金融業界は
1.「カード破産」問題化へ
2.ホワイト交流議論進む
3.「質的差異」に部分交流提言
4.問題の火種が静かに萌芽
5.商工ローン急躍進、崩れゆく需給のバランス
6.市場はめまぐるしく変化
7.二極化が業界利害の対立へ

第4章◆1990年〜 金利、信用情報機関そしてカウンセリングをめぐって
1.ノン社法議論は金利引き下げのきっかけか
2.改めて振り返る出資法上限金利の動向
3.利用者保護でのズレ
4.信用情報に関する動き
5.「複合入会」方式が急浮上
6.多重債務問題解決にカウンセリング検討へ
7.カウンセリングも総論賛成各論反対
8.主導権争いと日弁連の批判

第5章◆2000年以降 業界にアゲインストの風
1.横領事件と商工ローン問題
2.業績好調の反作用、想定外だった43条問題
3.2000年以降アゲインストに
4.入口と出口の課題解決は時間を要する

はじめに

消費者金融を中心とした貸金業界の専門紙(あえて業界紙とは書きません)に偶然入社したのが、ちょうど貸金業規制法施行を目前とした1983年8月のことでした。それから23年間、業界をウォッチングする役割を続けてきたわけです。不思議なのは、23年も経っているのに社会が見る業界の位置付けはあまり変化がありません。むしろ、ここ数年は悪化しているようにも思われます。なぜなのでしょう。
今まさに、貸金業を取り巻く法律の抜本的改正が議論されていますが、その中でハタと気がついたことがあります。それは、「利用者不在」であることです。市場の失敗と言われる多重債務問題は常に注目されるのですが、多重債務にならない、普通の利用者の姿がいつも見えないのです。そしてそれは、法を議論する立法府や行政府、学識者だけではなく、業界からも見えてこないのです。
世間があまりにも貸金業市場を理解していない、理解しようともしていないことから、理解の一助になる文章をこれまで書いてきましたが、実は業界自身もあまり理解していないのではないかと考えたことはこれまでもありました。そして、業界が規制強化への反論をするときには、「利用者のため」ではなく「自分たちのため」ではないのかと懸念する場面もあったことも事実です。
もはや貸金業は、ノンバンクと言い換えてもいいですが、金融機関を含む金融システムの上で位置付けを確立しなければならないほどに拡大しています。そして、その利用者は、消費者・中小企業・自営業者ひっくるめて経済の下支えをしている庶民です。その資金ニーズを客観的に捉えた上で必要な手当をするためには、業界自身も自分たちの役割や課題を改めて見直して欲しいと考え、本書をまとめることとしました。
第1部は、2001年から連載した「法を読み解く」シリーズと法律問題に関連したオピニオン記事を、現在の視点から書き直したものです。法律を条文解釈的に読むのではなく、なぜこのような法律になっているのか、実態との乖離はなぜ生まれたのか、その背景に着目して書いたものです。また第2部は、04年から06年初めにかけて連載した「業界をひもとく」シリーズです。私は大学で歴史学を専攻していましたが、「歴史は現在と将来を思考するために学ぶ」ものだと思っています。ですから、歴史的側面から業界の課題を明らかにしたいと書き進めたものです。そのための史料には、主に日本金融新聞の報道記事と関連団体などが発表してきたデータ、国会議事録、最高裁判例集などを使わせてもらっています。第1部と第2部を合わせて読んでいただければ、業界の姿がなんとなくイメージできるのではないかと思います。
なお、第2部の「業界をひもとく」は2000年で終わっています。その理由は、本書中でも書いているように、あまり直近のことは客観視しにくいのでもう少し時間が欲しいということもありますが、2000年以降、本質的な課題は何一つ解決されていないとも思うからです。

ちなみに、2000年以降の業界(特に消費者金融業界)に起こった主な出来事は次の通りです。

2000年〜  消費者金融大手が都銀と合弁でミドルリスク対象の新消費者金融会社を設立
2000年〜  消費者金融大手・中堅が銀行が提供するリテール商品の保証業務受託を開始
2000年3月 消費者金融サービス研究学会設立
2001年12月 クレジット業界の個人信用情報機関CICが消費者金融会社にも一部門戸開放
2002年1月 日本クレジットカウンセリング協会を業態横断型に再構築
2002年2月 警察庁の発表で紹介屋詐欺などの金融事犯が大幅に増加していることを認知
2002年11月 全金連が「ヤミ金苦情ダイヤル」を開設(2003年2月に「ヤミ金被害者は推定100万人」と発表)
2003年7月 ヤミ金融対策を目的とした貸金業規制法改正法が成立(施行は04年1 月)。ただし、金利も含め「3年後の見直し」附則がつく
2003年10月 消費者金融中堅のアエルが会社更生法を申請
2003年   この年、自己破産申請数がピークの24万件超となる
2004年3月 アコムが三菱東京フィナンシャル・グループ(MTFG)と資本・業務提携を締結したと発表
2004年6月 プロミスが三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)と資本・業務提携を締結したと発表
2004年〜  ライブドア、ソフトバンクファイナンス、楽天などのIT系企業が消費者金融事業に参入
2004年10月 JCFAが学識者を中心とした「フィナンシャルカウンセリング研       究会」を発足しカウンセリングの抜本的なあり方について研究を開始
2005年1月 改正破産法施行
2005年4月 個人情報保護法全面施行
2005年4月 金融庁「貸金業制度等に関する懇談会」を開始
2005年〜  貸金業規制法43条の要件を厳格解釈し43条適用を認めない最高裁 判決が相次ぎ、過払い金返還請求訴訟も急増(2006年1月の最高裁判決で実質空  文化される)
2006年4月 金融庁「貸金業制度等に関する懇談会」の中間整理公表、多重債務問題が法改正の焦点と指摘
2006年5月 各政党で法改正の議論が始まる

健全な市場を実現するためには、業界を否定して「臭いものに蓋をする」ような解決策をとるのではなく、まず市場を肯定したうえで、資金需要者の力によって選別・淘汰が起きるような仕組みを考えることが大事だと思っています。そうでなければ、業界自身による自己改革のインセンティブも生まれないでしょう。また業界も、いつまでも社会に受け入れられないからといって被害者意識に陥るのではなく、前向きに将来を考える姿勢を持ち続けて欲しいものです。

2006年7月

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